ここみ堂だより 7月号

●RSウイルスとは?

RSウイルスは正式にはRespiratory Syncytial(レスピラトリ―・シンシチアル)ウイルスといい、その頭文字をとってRS(アールエス)ウイルスと呼ばれます。小児にとってとても一般的なウイルスで、1歳までに約50%、2歳までにほぼ100%の子ども達がこのウイルスに感染します。世界ではRSウイルスに関連した気道感染症が年間3300万件・入院が360万件・死亡が10万件おこっていると推定されています。

日本でも毎年12~14万人の2歳未満の子ども達がRSウイルス感染症と診断され、約3万人が入院を必要としています。RSウイルスは、生後間もない赤ちゃんが感染すると重症化する場合が多く、新生児にとってはとても怖い感染症の1つです。

●RSウイルスの症状

RSウイルス感染症は、軽度から重度までさまざまな症状を引き起こします。

子ども・大人ともに軽症では、発熱・のどの痛み・鼻づまり・鼻水や咳など喉や鼻の風邪のような症状が中心です。症状が出る期間は軽症の場合、2〜3日から1週間程度です。
重度では喘鳴や呼吸困難・だるさ・食欲不振など呼吸器や全身の症状におよびます。

重症化すると気管支炎や肺炎に進行し、治療期間が伸び入院治療が必要になることもあります。

●RSウイルスの治療方法

RSウイルス感染症に対する特効薬はなく、主に対症療法が行われます。ウイルス感染そのものを治療するのではなく症状を和らげ、体力回復を促すケアが中心です。

軽症の場合は、治療せずに治ることもあります。発熱により水分が失われるため、十分な水分補給を行い、安静を保ちます。咳や鼻水に対しては加湿器を使ったり、蒸気を取り入れたりして呼吸を楽にする方法が効果的です。咳が続いて眠れない場合は、座った姿勢で休むなど姿勢の工夫をするとよいでしょう。重症の場合酸素療法が必要になることがあります。

喘鳴や呼吸困難が強い場合は入院し、点滴や吸入・肺機能が低下した場合、人工呼吸器などの治療が行われることがあります。

●RSウイルス感染症の感染経路と予防方法

RSウイルスは感染した人の咳やくしゃみによる飛沫感染・ウイルスが付着した物や手を介して広がる接触感染があります。

ウイルスが付着した物や手を介して感染する為、特に以下の予防策が重要です。

手洗い:ウイルスが手についた状態で目や口・鼻に触れると感染しやすい為、こまめな手洗いが有効です。

咳エチケット:マスクを着用したり、咳やくしゃみをする際に口や鼻を覆うことが大切。

人混みを避ける:特に乳幼児や高齢者は流行時期に人混みを避け、感染リスクを減らすことを推奨しています。

室内環境の清潔保持:共有するおもちゃや家具・食器類・ドアノブなどを定期的に消毒し、感染を防ぎます。RSウイルスはさまざまな消毒薬に弱いウイルスですので、消毒用エタノール・次亜塩素酸ナトリウムなどの使用が有効です。

ここみ堂だより 1月号

新年、明けましておめでとうございます。
昨年は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

●ノロウイルスとは…?

胃腸炎を起こす感染症は複数ありますが、ノロウイルスによるものをご紹介します。

ノロウイルス感染症は、乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層に急性胃腸炎を引き起こす

ウイルス性の感染症です。長期免疫が成立しないため何度もかかります。

1年を通して発生していますが主に冬場に多発し、

11月頃から流行がはじまり12~2月にピークを迎えます。

原因ウイルスであるノロウイルスは人の腸管内でのみ増殖しますが、

乾燥や熱にも強いうえに自然環境下でも長期間生存が可能です。

また感染力が非常に強く、少量のウイルス(10〜100個)でも感染・発症します。

●どんな症状?

嘔気・嘔吐・下痢(主症状)

その他、・腹痛・頭痛・発熱(軽度)・悪寒・筋痛・咽頭通・倦怠感など。

激しい嘔吐となるのが特徴です。下痢は水様便で一般的に1日に2・3回程度出ますが、

1日に何十回と下痢をするケースもあります。

通常1~2日程度で治癒し、後遺症もありません。

乳幼児や高齢者などでは頻回な下痢と嘔吐で脱水症状に陥るケースもあり、

嘔吐物による窒息のリスクも少なくありません。

●かかってしまった時の対処法

・有効な特効薬はなく対症治療中心 ・「脱水症状」になりやすいため意識的に水分補給

ノロウイルスには有効な抗ウイルス剤がなく、対症療法が行われます。

特に抵抗力の弱い乳幼児や高齢者が感染すると、「脱水症状」になりやすいので、

症状が少し落ち着いた時に、少しずつ水分補給を行ってください。

(乳幼児の場合、ジュースや牛乳などの濃い飲みものを与えたり、一気に飲ませると

吐き戻してしまうことがありますので注意してください。)

脱水症状がひどい場合には、病院で輸液(点滴)を行うなどの治療が必要となります。

下痢止め薬は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいでしょう。